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あくりょう

悪霊

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《悪霊(あくりょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,980 字 · 67 頁

青空文庫

彼はそんな際にも、日頃の癖を忘れないで、他の三人からはずっと遠い、隅っこの椅子に腰かけて、電燈がまぶしいという様に、額に手をかざしていた。

「僕はどうも信じられませんね。それに下手人がこの会員の内にいるなんて、実に馬鹿馬鹿しいと思う。今夜は龍ちゃん、どうかしてたんじゃありませんか。姉崎さんの事件が、あの子の鋭敏な心に、何か暗示的に働きかけて、さっきの様な幻影を描かせたんじゃありませんか」

僕が反駁した。僕は君も知っている様に常識的な男だ。霊界通信についても、他の会員達の様な盲目的な信仰は持っていない。無論会に加わっている位だから、一応の理解はあるのだけれど、信仰というよりは、寧ろ好奇心の方が勝を占めている程度だ。自然、こういう異常な場合になると、つい常識が頭を擡げて来る。

「イヤ、それは霊媒自身については云えるか知れませんが、コントロールは無関係です。『織江さん』の魂が、あの事件に影響されて、嘘を云うなんてことは、考えられません」

槌野君が思切った様に、顔を赤くして主張した。この一寸法師は、前にも記した通り、会員中でも第一の霊界信者なのだ。彼は社交的な会話では、はにかみ屋で、黙り勝ちだけれど、霊界のこととなると、人が違った様に勇敢になる。