輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《悪魔の紋章(あくまのもんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 頁

青空文庫

女怪

ガタガタと瓦を踏む音が聞える。怪物は林を蹴飛ばして置いて、屋根の上へ逃げ出したのだ。

女怪

「先生、外へ廻って下さい。大屋根の上へ逃げました。屋根を伝って、下へ降りる積りかも知れません」

押入れの外に待っていた宗像博士の耳に、屋根裏の闇の中から、林助手の声が聞えて来た。

それでなくても、天井の恐ろしい物音に、もう身構えをしていた博士は、この声を聞くと、矢庭に身を躍らして、疾風のように階段を駈け降り、裏口から闇の道路へと飛び出し、空家の表側に廻って、相手に悟られぬよう、物蔭から、じっと屋根の上を注視した。

怪物は二階の大屋根から、雨樋を伝わって、非常な危険を冒しながら、やっと一階の屋根まで降りたところであった。遠くの街燈のほのかな光線が、守宮のように二階の窓の雨戸にへばりついた黒い背広に黒いソフト帽の人物を、朦朧と映し出している。

その者は、雨戸にへばりついた姿勢のまま、ソッと首を伸ばして、下の道路を眺め、耳をすまして様子を窺っている。

博士は一層注意して、物蔭に身を隠し、僅かに一方の目だけで、屋根の上を見つめていた。

もう十一時に近い時刻、淋しい屋敷町には、全く人通りも途絶えている。