輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《悪魔の紋章(あくまのもんしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 頁

青空文庫

あいつは、妙子さんと一緒にちゃんと僕達の目の前にいたんだ。アア、俺は、今までそこに気がつかないなんて、実にひどい盲点に引っかかったもんだ」

小池助手は目をパチパチとしばたたいた。博士の言葉の意味が、少しも分らなかったからである。

「目の前にいたといいますと?」

「今に分る。ひょっとしたら僕の思い違いかも知れない。しかし、どう考えてもその外に手品の種はないのだ。小池君、世の中には、すぐ目の前に在りながら、どうしても気の附かないような場所があるものだよ。習慣の力だ。一つの道具が全く別の用途に使われると、我々は忽ち盲目になってしまうのだ」

小池助手は益々面喰った。聞けば聞く程訳が分らなくなるばかりである。しかし、彼はこれ以上訊ねても無駄なことをよく知っていた。宗像博士は、その推理が確実に確かめられるまでは、具体的な表現をしない人であった。

やがて、車が規定以上の速力で、川手邸の門前に着くや否や、博士は自らドアを開いて自動車を飛び出し、風のように玄関へ駈け込んで行った。

客間に入って見ると、川手氏は、そこの長椅子にグッタリと凭れたまま、ものを考える力もなくなったように、茫然としていた。