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ぶんがくのどんてん
文学の曇天
豊島 与志雄
線上閱讀豊島 与志雄《文学の曇天(ぶんがくのどんてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,837 字 · 10 頁
然しそれよりも、他の陰欝なもの、日の光を遮る雲のようなもの、云いかえれば文学全般の曇天を、更に思わせるのである。
文学の曇天、このことを云う前に、これを分りやすくするために、この頃新たに自由主義ということが唱えだされた所以を考えてみるのも、無駄ではあるまい。
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自由主義は、云うまでもなく、一の態度であり、一の心構えであって、政策ではない。それゆえ一定の実践的方面への推進力は持たない。
それは、個人の人格を尊重し主張する。思想の自由を主張し、言論の自由を主張し、時としては行動の自由までも主張する。そしてそれ相当の熱情さえも持っている。然しながら、社会生活に対して、斯くあらねばならないという具体的実践的規範を提出しはしない。
随って、自由主義の唱導は、何等かの権力的統制の過重を思わする。実際、何等かの権力的統制の過重なしには、自由主義は唱導される理由を持たないであろう。
然るに、この自由主義はそれ独特の正義観から、或る機縁を与えらるれば、火となって燃え上る可能性を持っている。自由主義の発生地は、社会のインテリ層である。インテリ層は、最も早く火を引き易い可燃層である。