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ぶんがくのどんてん

文学の曇天

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《文学の曇天(ぶんがくのどんてん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,837 字 · 10 頁

青空文庫

持続的な実行力は弱いが、一時的な爆発力は強い。フランスの大革命も、ロシアの革命も、また近くは我国の明治維新も、そのことを吾々に示して呉れた。そしてこのインテリ層が火を引き初めるや、その自由主義はもはや自由主義ではなくなる。一躍反対物へ転化してしまう。

自由主義のインテリ層が、如何なる機会に火を引くか、そして如何なる火を引くか、それが問題なのであって、統制者側の最大の関心注意は、そこにある筈である。

一の権力的統制が、自己を強度に確立しようとする時、危険なインテリ層の火を、或は一挙に踏みつぶすこともあろうし、或は長くぶすぶすとくすぶらせることによって、やがて死灰になすの方策を取ることもあろう。前者を覇道とすれば、後者は王道である。だがいずれも、万一の危険は覚悟しなければならない。そこで、最も安全な道を選ぶには、インテリ層が火を引かない前に、その自由主義をして、いつまでも自由主義で止まらしむることである。云いかえれば、何等の集団的な根拠をも持たしめず、何等の階級的な色彩をも帯ばしめず、何等の実践的な目的意識をも懐かしめないことである。

さて、こういう風に遊離した状態に置かれる自由主義は、或る営養不良的な陰欝さを、その相貌の上に漂わせる。