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ぶんげいのてつがくてききそ
文芸の哲学的基礎
線上閱讀夏目 漱石《文芸の哲学的基礎(ぶんげいのてつがくてききそ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 49,519 字 · 98 頁
この四種のいずれがいかなる時勢に流行し、いずれがいかなる人にもっとも歓迎さるるかは大分興味ある問題でありますが、これも時間がないから抜きに致します。ただちょっと御断りをしておきたいのは、この四種は名前の示すごとく四種であって互にそれ相当の主張を有して、文芸の理想となっているものでありますから、甲をもって乙に隷属すべき理由はどうしても発見できんのであります。この四つのうちに、重要の度からして差等の点数をつけて見ろと云われた時に、何人もこれをあえてする事はできないはずと思います。もしあるとすれば答案を調べずに点数をつける乱暴な教員と同じもので、言語道断の不心得であります。ただ吾は時勢の影響を受けているから、しかじかの理想に属するものを好むと云うならばそれでよろしい。吾は個性としてかくかくの理想の下に包含せらるべきものを択むと云うならば、それで勘弁してもよい。好悪は理窟にはならんのだから、いやとか好きとか云うならそれまでであるが、根拠のない好悪を発表するのを恥じて、理窟もつかぬところに、いたずらな理窟をつけて、弁解するのは、消化がわるいから僕は蛸が嫌だというような口上で、もし好物であったなら、いかほど不消化でも、だまって、足は八本共に平げるほどな覚悟だろうと思います。