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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《新宝島(しんたからじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 頁

青空文庫

僕があいつを打ちとめて見せるから」

一郎君は元気よく答えて、銃を持って、筏のまん中に立上り、水鳥にねらいをさだめました。そして、名射手一郎君は、ただ一発のもとにえものを打ちとったのです。

大急ぎで筏をその場に近づけますと、猟犬のポパイはたまりかねたように、一声高く吠えたかと思うと、いきなりザブンと水中に飛びこみ、みごとに泳いで、えものをくわえて帰って来るのでした。

ああ何という楽しい船旅でしょう。もし少年達の探検旅行が、おしまいまで、こうして楽しくつづいたら、こんな仕合せなことはありません。

しかし、そうは行かなかったのです。三人の行手には実に恐しい危険がまちかまえていたのです。少年達の一生を通じて、最大の危難がまちかまえていたのです。

それは、湖水にすむ鰐だったでしょうか。空から襲いかかる猛鳥だったでしょうか。それとも人喰人種に出くわしたとでもいうのでしょうか。イヤイヤ、そういう生きものの危難ではありません。では、とつぜん嵐でも起って、筏をくつがえしたのでしょうか。

イヤ、そういう天変地異でもありません。それは、この世の何人もまだ味わったことのない、どんな言葉でも言いあらわせないほど、恐しい事柄だったのです。