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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

滝川一益の隊は、その中軍を衝かれて、二里も退いた。

その他、飯尾、加藤、下方などの織田軍は、聯絡を失って、支離滅裂した。――夜が明けてみると、死者、傷者、夥しい数にのぼったのみか、ここ七日ほどで、せっかく有利に進んで来た全線の体形が、まったく乱れてしまった。

「木下隊と、池田隊が見えぬ。――全滅したのではないか」

敗色の濃い織田軍のうえに、さらにこんな聞えが高まった。

一益は驚いて、調べさせていると、飯尾隠岐守と下方左近将監のふたりが、陣地から伝令をよこして、

「――昨夜、乱軍中、木下、池田の二隊のみ、敵の右翼を突破して、敵の北地へふかく進んでしまった。察するところ、我説を曲げず、君命を待たず、高岡の城へかかる考えと思われる。――如何すべきや?」

と計ってきた。

やむなく、一益は、

「この上は、彼らを先鋒とし、われわれは後巻して、進むほかあるまい。さもなくば、戦いの後、木下、池田を見殺しにしたといわれよう」

不平もあったが、ために、織田方はひきずられた形で、木下、池田の先鋒に従って、午後から動き出した。

そして、敵の高岡城へ、もう四、五里という辺りまで来てみると、いちめん空は黒けむりに塞がっていた。