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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

「つい近頃です。陣中の暇を見て、私から説き伏せに参り、いちどわが御主君に会えとすすめておいたのでござる」

「まめだのう」

「陣頭へ駒をのり出すばかりが戦いではありませぬから」

「しかし――きょうは誰にも訪客には会わぬと申し出してある。きょうはそちだけ会って、泊るものなら寺内へ泊めておけ。明日会おう」

「いや、それなら帰します。彼はいやしくも一城の主、若年ながら摂津の尼ヶ崎に拠って、よく士気を治め、畿内の老雄に呼びかけ、胆斗の如き男です。お味方にとって最も怖るべき敵のひとりでしょう。不肖の眼では、あの男を敵方にまわしておいては、将来の大計にも不利と考えたので、礼を執って、今日の来訪を約しておいたのです。――御当家の開運を見て、にわかに、酒や財物を贈って、門前にうようよと市をなして来る客とは物がちがいまする」

「そちはひどく敵方の将を賞めそやすの」

「敵でも、よい人物には、人間として、尊敬をはらいまする。荒木村重は、賞めてよい男と信じますので」

「通せ」

「ありがとう存じまする。――これへ通せ」

と、そのままを、取次へいう。

村重はやがて、侍たちに囲まれてはいって来た。