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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

年暮の半ばから末に。

泉州から河内の奥あたりで、三好の残党がまた騒いでいると噂はあったが、

(洛中には、市民を護ってくれる織田軍がいる)

と、かたく信頼して、何の不安も抱かなかった。

――が、実際は、そう多くの兵は残されていなかったのである。洛中洛外の警備に、わずか二千の兵がいたきりだった。

敵の残党は、偽装して、市中にもたくさん潜伏していた。信長の本軍が、岐阜へ帰ると、

「――手薄」

「今だ」

と、密報は、諸処の残党の仲間へ、逸はやく聞えていた。

信長を窺う敵は、三好松永の党ばかりではない。美濃を逐われた斎藤龍興とその一族もある。つい先頃亡ぼされた佐々木一族やその他もある。

河内から泉州辺に、斎藤龍興が姿を見せ始めた。重臣の長井隼人が側についている。これが三好松永の敗残軍と結んで、

「虚を衝け」

と、なった。

それが年暮の乱だったが、市中警固の一方に当っていた藤吉郎は、固く戒めて、市民にも知らせなかった。しかし、戦況は刻々と味方に不利で、敵は一万余人にもなり、年をこえて洛外へ近づいて来た。

その防ぎに当っているまに、市中に潜っていた残党と、潜行して来た敵の一部隊が、突然四日の昼――本国寺の濠をぐるりと取りまいて、