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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

。

「まず丹羽殿あたりかな」

「いや柴田殿だろう」

「おれは五郎左衛門殿に白羽の矢が立つと思う」

丹羽五郎左衛門長秀が第一に人気があった。次いでは柴田勝家だった。

ところが、誰の予想も中らなかった。――みな、唖然としたものだった。木下藤吉郎秀吉に命ぜられる! と、聞えたからである。

「あんな、俗姓さえ覚つかない百姓出を」

「京都守備の重任にとは」

「あれが、御主君のお眼鑑による織田軍中の人物とは」

それぞれ多分な嫉視反感をふくんだ声であった。

「譜代の重臣も多いに」

と、その重臣仲間にも、羨望反感がおおえなかった。いかに人材の御登用とはいえ、旧功の臣は、立場がないと、面に色をあらわしていう者もある。中でひとり、

「もっともだが、主君の御観察に、これまでとて、一度でも誤った例しはない。小智の論は慎むべきだ」

佐久間信盛だけは、穏やかにそう宥めていたという。

何事にも今は革新の意志に燃えて怯まない信長なので、ズバと、思いどおりやってしまったが、旧臣たちの不平や異議には、事実、一時は当惑もした程だった。しかしそれをすぐ歪めたり退いたりする彼ではない。

「藤吉郎、就任の御挨拶ないたして参れ」