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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁

青空文庫

……もしものことでもありはせぬか、それも案じられて、家中手分けして尋ねているのだ」

「まだまだ、流れ弾は飛んで来ぬ。大丈夫、死んではおるまい」

「あたり前なことをお云いでない。ひとの心配をまぜ返すものではないよ」

「いえいえ、心配ごとというのは、一番悪い成り行きを先に考えておけば、たいがい安心のなるものでな」

――すると、垣の外に、人影がさした。若い女の着物がちらと透いて見える。嫁いで来て間もない道安の新妻であった。

「あなた。……あなた」

小声で呼ぶ――。世間馴れない嫁なので、垣の外に佇みながら、良人と新左と話しこんでいる様子に、気がねをしたり、また急いでいるふうだった。

「――知れました。ようやく今、お父さまの居どころが。どうぞ、お帰りくださいませ、みんなも待っておりますから」

道安は、振り向いて、

「おう、おきぬか。何、父の居どころが知れたって。……お帰りになったのか」

「いえ、まだお帰りにはなりませぬが……」

と、おきぬの声には、憂いがこもっていた。そして後ろの辻を振り向いて、道安のすがたを探しているらしい店の者を、手招きしていた。

道安はあわただしく、