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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 185,353 字 · 371 頁
味方も疲れているが、敵は、怒りにまかせて追って来たから、なお、疲労しているにきまっている。――程よい所まで登って来たら、岩石を投げ浴びせろ、槍をそろえて突き落せ」
彼の事理明白なことばに、疲れてはいたが、部下は、自信を持った。
「来いッ」
と、待ちかまえたものである。
毛屋七左衛門の追討は惨憺たる失敗に帰した。岩石や槍の下に、無数の犠牲者を積んでしまった。
「退けッ、退けッ」
と、声もしゃ嗄れ果てた号令が、敵方の谷間で聞えた。――藤吉郎もまた、真似るように、
「それッ、今だッ、退けや、退けや」
と、南の低地へ向って逃げ出した。
残兵をひきいて、毛屋勢はまた追って来た。実に執念ぶかいのである。しかし、その追討ちの敵はもう余力もよほど弱っていたが、若狭の高島郡から江州への中山越えにかかる山中で、突然、この地方の本願寺門徒の僧兵が襲撃して来て、
「通すな」
「やるな」
と、道を遮り、道を交わせばまた、左右の沢や森林から、矢を放ち、石を投げ、虚を突いて、うるさく攻めて来た。
「参った――」
と、藤吉郎も、思いかけた。
だが、生きんとする大慾心をふるい起すのはこの時だと、へたばりかける肉体を反撥して、