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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
殊に、光秀のごとき、優れた知識人から、下目に見られるのは、むしろ当然としているふうであった。大きな人間的規格とはべつな意味で、単なる知性とか教養とかいう履歴の上では、遥かに自分より彼の優れていることを是認するだけの寛度を持っていた。
「そうそう、申し忘れておった……」
と、秀吉は急に思い出したように、
「なによりはまず、お祝いを申しあげるべきだった。このたびは、惟任の氏を賜わり、さきには丹波の御領地を加えられ、ここおよろこびが打ち続いておられる。積年御奉公の真、当然とは申しながら、あなたにもようやく御開運の時期到来、このうえとも御長久を祈ります」
これは礼儀と、けじめをつけるように、膝まで、恭しく両手をさげた。
「いや、身に余る栄誉、みな君恩です」
光秀はあくまで真面目に、礼に対して礼を返した。――が、その後で、
「丹波をいただいても、御承知のとおり、あの地方は、旧将軍家の所領で、いまなお頑強に、根城をかまえて、何者が臨んで来ようと絶対に服従はせぬぞといわぬばかり、我意を張っている土豪が多いのでござる。――果たして、光秀の力で、よく征服し、よく治領し得るやいなや――。