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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

「幾歳になる? そちは」

「十三歳でございます」

「苗字はないのか」

「家代々、石田を姓としております」

「石田佐吉というか」

「そうです」

「この近郷には、石田姓が多いようだな」

「けれど、わたくしの家は、石田の中の石田です。たくさんある石田とはいささか違います」

何を答えるのも明晰で、妙に怖れたりはにかむふうなど少しもなかった。

「石田の中でもすこし違う石田とは……どういうわけだな」

秀吉は、微笑をふくむ。

佐吉はそれに答えて、

「この近郷で、いちばん旧い家がらですから」

と、いって、また、

「粟津の戦で、むかし、木曾義仲を射とめた石田判官為久という人は、わが家の御先祖だと、父から聞いておりました」

「ほう、その頃から、江州の武家であったか」

「はい。建武の頃には石田源左衛門という方が、菩提寺の過去帳にものっております。それからずっと後は、この辺の御領主だった京極家に仕えましたが、いつの頃からか浪人して、梓の関の近所に住み、郷士になってしまいました」

「あの関の址の附近に、石田屋敷という名がいまもあるが、そちの先祖の地か」

「はい。仰せのとおりです」

「両親は?」

「ございません」