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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁

青空文庫

……筑前どのでおわしたか」

僧は振向くなり仰山すぎるくらいな表情を示した。

秀吉も、陽気に和して、

「意外なところで」

と、もいちど、恵瓊の肩をたたき、そして懐かしそうな眼を細めた。

「ずいぶん久しいことでおざった。蜂須賀村の小六どのの宅で」

「そうそう、あの折、小六の宅に泊っておられた客僧どのが、あなたであった。――つい先頃、年の暮、二条のお館で、惟任どのからちらと、御入洛のうわさは聞いていたが」

「毛利殿のお使いに加わって、京都に逗留していました。お使者はすでに帰国されたが、急ぐ用とてない野僧の身軽さ、そこここと、洛中洛外の寺々を泊りあるいて、折ふしの御普請、国へのみやげ話にもと、ふと、立ち寄って、大きな感動に打たれておりましたわけで」

「貴僧も、御普請中でしょう」

秀吉の唐突なことばに、

「え。どこに」

恵瓊がすこし顔のいろを変えると、秀吉は笑って、

「いや、城廓の儀ではありません。――近年、御定住と聞く安芸国で、安国寺という伽藍を」

「ははは。伽藍のことで」

と、恵瓊も顔を解いて笑いながら、

「安国寺は、はや落成しました。いまはそこの住持、いちど折を見て、御遊歴下されば忝いが……あなたもすでに、長浜の御城主、お身軽には参りますまいな」