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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
湖岸には、荷船や渡船の便に施設して、さながら小さい港場の景を呈していた。――前田又左衛門らと秀吉とは、そこから上がって、町奉行の福富平左衛門の小屋ですこし休み、まだ明るいうちに登城した。
銀砂をしきつめた大手の坂道も、巨石を組んだ石段も、塗りの多門も、金鋲の金具も、すべてが眩いほど新しい。
眩いといえば、五層閣の天守は、湖上から見ても、街道から仰いでも、また城中へ来てすぐその下に佇んでみても――壮麗豪宕、言語に絶していた。無条件に眼をうばい、人を慴伏させる姿をそれは巍然と備えているのである。
「筑前。――来たか」
信長の声は、金碧や丹青の燦くうちにただ一つある墨絵の一室――狩野永徳が画くところという遠寺晩鐘図の襖をめぐらした部屋の上段から大きく聞えた。
「はい。……秀吉、お使いをたまわりまして、これまで参りました」
彼はまだ、ずっと、遠くにいた。――次の間に、手をつかえて。
又左衛門だけが、君前に進んで、
「おことばを伝えて、召しつれました」
と、報告した。
信長の声は、たいへん響きがいい。上機嫌な証拠である。久しぶりに、秀吉のすがたを見、やはり欣しいのであった。