輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
「では、生かしておけまい」
「そこまでの大事はまだ洩らしていないが……」
「蟻の穴からという喩もある。拙者が追いかけて」
と、山田八蔵は、すぐ庭門のほうから出て、平六のあとを追った。
近藤平六は、送りに出て来た大賀の召使たちにも、ひと口のことばも交わさず、表門のくぐりから外へ出て来た。
そして宏壮な門を出て、黙ってふり向いていたが、
「……べッ」
と、唾するように、何かつぶやいていた。
裏門から廻った山田八蔵は、その影をはやくも見つけて、
「どこで斬ろうか?」
と、土塀に身を貼りつけながら徐々に近づいて来た。
すると近藤平六は、表門から塀づたいに十歩も行くと、すぐ塀際の溝へ向って、屈みこんでいた。
どこの屋敷でも、すこし大きな構えとなると、かならず塀のまわりに溝渠があり水がながれている。――平六は口のなかへ手をつッこんで、むりに、さも苦しそうな声をくり返して、たった今、大賀家で馳走になったものをみな吐き出してしまった。
そして、涙をこすりながら、
「ああ、清々した」
と、つぶやいて、とことこ行ってしまった。
山田八蔵はその容子を見て、急に気が変った。やはり彼がふいに辞去したのは、体の加減で、ほんとに悪酔いしたものにちがいない。