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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 197,228 字 · 394 頁
違うともいわないのである。
「殿さまがお呼びだ、すぐ来い。さむらいのくせにして、泥溝になぞ落ちるやつがあるか。何のために毎日、兵法を習いに通っておるんだ」
叱言を云いながら、市松は先に行ってしまった。あかあかと燭の見える本丸の一間のほうへ。
小姓部屋へもどって、虎之助は着ものを着かえ、やがて秀吉のまえに行って、何用ですかと伺った。席には酒が出ていた。足軽頭の木村大膳は、そのかたわらに苦りきっていた。虎之助はちらとその人を見て、また主人の唇もとへ眼をかえした。
「於虎、そちは今日、えらい事をやりおったそうではないか。大膳がきつう立腹いたし、これへ来て、わしへ訴えおる。――配下の者を傷つけられては黙っておれんと申すのじゃ。道理でもある。どうするか」
「どうもいたしません」
「どうもせぬと」
「はい。相手の者が悪いんですから」
「足軽組の久兵衛とかいう者の片腕を斬ったというではないか、その方が」
「いたしました」
「家中の喧嘩は両成敗の掟、その方の身をわたせと、ここへ参って、大膳がわしを困らせおる。渡されてもよいか」
「よろしゅうございます」
「左様なことを申さずと、そちはまだ少年、大膳へここで手をついて謝ったがよかろう。