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まさことまき

方子と末起

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《方子と末起(まさことまき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,517 字 · 24 頁

青空文庫

それは、お祖母さまの眼を知らぬ以上、決して無理ではないのだ。では、あのことを打ち明けようかしら……となると、末起もさすがに惑わざるを得なかった。

義父の謙吉は血の関係もあって、末起には淡々たるものであった。とくに、親しみを寄せるというようなこともなく、といって、継子らしく扱うようなこともなく、母の死後も生前とは少しも変っていない。一貫して、つかず離れずで、世間体というだけの男だった。

それだけに、はじめて祖母の意思が通じたということは、これまで、なんの関心もなかった人だけに、さすがにいい兼ねた。というより、なんで祖母の髪が気になるのか、末起には問いかえしたいくらいだ。母の面影が、いちばんよくうつった毛巻の丸髷から、あの皺のなかから髣髴と浮きでている。それが、心を刺したのでなければ、なんで義父が――と思うと、末起も反抗気味になってきて、

「あれは、お父さま、私が結ったのです。霜やも、ときやも、誰も知りませんの」

「なに、お前がか……」

謙吉は、盃を手にしたまま、じっと末起を見つめはじめた。しかし、すぐに思い当ったとみえ、ぐっと和らいだ顔になった。

「いけないね末起、想いだすのもいいが、あんなことはいかんよ。