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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
の女でありながら、何となく古風の女めいて、どうしても京都でなければ見られない女であると思いながら、私は寝床の上に楽枕しながら、女の容姿に横からつくづく見蕩れていた。……
その時は、その晩遅い汽車で、女に京都駅まで見送られて東京に戻って来た。それから一年ばかり、手紙だけは始終贈答していながら、顔を見なかったのである。
四
その女が、自分のほかにどんな人間に逢っているか、自分に対して、はたしてどれだけの真実な感情を抱いているか。近いところにいてさえ売笑を稼業としている者の内状は知るよしもないのに、まして遠く離れて、しかも一年以上二年近くも相見ないで、ただ手紙の交換ばかりしていて、対手の心の真相は知られるはずもないのであるが、そんなことを深く疑えば、いくら疑ったって際限がなかった。時とすると堪えがたい想像を心に描いて、ほとんどいても起ってもいられないような愛着と、嫉妬と、不安のために胸を焦がすようなこともあったが、私は、強いてみずから欺くようにして、そういう不快な想像を掻き消し、不安な思いを胸から追い払うように努めていたのであった。
そして、三、四年につづいている長い間のこちらの配慮の結果、あたりまえならば、もうとうに女の身の解決は着いているはずであるのに、それがいつまで経っても要領を得ないので、後に