輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁

青空文庫

そのために、まだ春の寒いころから傷ねていた健康をも、追い追い暖気に向う気候の加減も手伝って、すっかり回復したのであった。

女は用事を付けてその月一ぱいだけは一週間ばかり家にいたまま休んでいた。どこかへ一緒に歩いてみようかといって誘っても、

「ほんとに商売を廃めてしもうてからにします」とばかりで、夜遅く近処の風呂にゆくほかは一日静かにして家にとじ籠もっていた。そして稚い女の子の気まぐれのように、ふと思い出して風炉の釜に湯を沸かして、薄茶を立てて飲ましたりした。そして、そこにある塗り物の菓子箱を指さして、

「わたしが二月に病気で寝ている時これを持って、見舞いに来てくれた人が、その時私を廃めさすいうてくれたんどっせ」

「へえ、そんな深い人があるの」

「深いことも何もおへんけど」

「そして引かすといった時あんたは何と言ったの」

「私、すこし都合がおすさかいいうて断りました」

「その人はどんな人? 何をする人」

「やっぱり商人の人どす」

「まだ若い人?」

「若いことおへん。もうおかみさんがあって、子供の三人もある人どす」

「そんな人しかたがないじゃないか」

「そやから、どうもしいしまへん」