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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
やや三、四十分もそうしていたが、とうとう堪えきれなくなってお宮の方に向きなおりながら、
「お前真実に柳沢が好いの? 真実のことをいってくれ。僕怒りやしないから」
弱い声でいった。するとお宮は、
「ええ、柳沢さんが好いの」やっぱりさっきのような泣き声で返辞をした。
私は消え入るような心地になってじっと堪えていたが、果ては耐えられなくなっていきなり、
「ああ悔しい※(感嘆符二つ、1-8-75)……思いつめた女に友達と見変えられた」といってかっと両子で頭髪を引っ掻いて蒲団の中で身悶えした。
するとお宮は、「おう恐い人※(感嘆符二つ、1-8-75)」と、呆れたようにいって蒲団の端の方に身を退いて、背後にじ向いて私の方を見た。
私は、その時お宮と自分との間が肉体はわずか三尺も隔っていなくっても互いの心持ちはもう千里も遠くに離れている仇同志のような感じがした。
そうなったら憎いが先に立って、私は翌朝起きてからもお宮には口も利かなかった。それでも主婦が階下からお膳を運んで来た時、
「御飯をお食べなさい」と、いうと、
「私、食べない」といったきり不貞くされたように沈み込んでじっと坐っている。