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にほんのび
日本の美
中井 正一
線上閱讀中井 正一《日本の美(にほんのび)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 96,126 字 · 187 頁
四十以後はむしろ、芸道は下るというべきである。この三十四・五歳の時に、いたれるかぎりの研究をするべきである。四十歳から五十歳には、自分の肉体にふさわしい芸をえらび、そこからさらに闌けかえるところの芸風が生まれいでるというのである。
この発展の中で彼は、安位、闌位、無風(安い位、闌けたる位、風のない位)の芸の位を説くのであります。すなわち芸術は、世阿弥のいうところの、次のようなところがあるのであります。
「無心の位にて、我がこころをわれにもかくす安心にて、せぬひまの前後をつなぐべし。是則、万能を一心にてつなぐ感力なり」
練習に練習をかさねると、いつのまにか、自分の肉体の中に、自分が信頼している深い秩序ができてくる。この生きた秩序に、自分が、快くまかせ、つまらぬゆがんだ、こせこせした過剰な意識をむしろ切りすて、おさえて、自由に邪魔することなく、すなおに、サラリと行動する時、そこにある、無心というか、最も敏活なおだやかなたのしさを芸術の筋金として、まもり育てることを要求しているのであります。九代目団十郎が長十郎時代に、朝はやくから踊り、長唄、三味線、囃子、琴、茶をならうために終日を費やし、ほっと心を休める暇は、便所にいく時と、お灸をすえる時とだけであったといわれています。