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あねがわのかっせん
日本合戦譚
菊池 寛
線上閱讀菊池 寛《日本合戦譚(あねがわのかっせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 154,771 字 · 313 頁
官軍勇を奮って躍進するが、なかなか頑強であって、之を抜く事が出来なかった。その筈である、丁度此処には、薩の勇将、篠原、村田が、頑張って居たのだから。
この日、両将は木留の本営に居たのであったが、急を聞いて部下三四百を率い、馳せ来って、吉次越の絶頂の凹んだ処に木と草とで忽ち速成のバンガローを造って、悠々と尻を落ちつけて、指揮したと云う。最初、篠原が乗り込んで来た時は、官軍の追及急なので、薩兵少しく浮足になって居るのを、篠原大刀を揮って之を叱した。次いで単身、ゆるやかな足取りで来たのが村田である。薩軍やや元気を恢復したものの、猶危倶の念が去らないので、村田の姿を見ると、「退却で御座いますか」と問うた者がある。村田嘲笑って曰く、「ひとつ官軍の奴共を、この狭隘の地に引入れて、鏖にして見せるかな」と。容易に抜く事が出来なかったのも尤である。別府晋介また、別路から、小天街道に赴いて海岸線を守ったが、此日、朝の十時から昼の三時に至る間激戦少しも止まず、官薩の死傷相匹敵したと云う。
それにしても、官軍は境木まで前進することを得て居る。田原坂はもう、この境木の目の前に在る。