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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,649 字 · 27 頁

青空文庫

だなどと考えることはゆるされなかった、どんなに辛くともそれを克服してゆかなくてはならなかったのである。

小松は十八歳のとき、望まれて百樹家へ嫁した、百樹は二百五十石の寄合組であるが、良人の靱負はすでに用人格で、俊才という評判の高い人物だった。縹緻でのぞまれたのと、身分の違うのが不安だったけれども、頭の敏い小松はよく婚家の風に馴れ、案外なくらい良縁としておさまった。それから三年たって津留も結婚した。これは百樹の媒酌で、相手は秋沢継之助といい、扈従組の上席で三百石のいえがらだった。……こうして二人の妹を恵まれた結婚生活に送り出したとき、弥生は自分の努力のむだでなかったことを知り、それだけでも充分に酬われたように思った。無経験な若い自分の思案と、乏しい家計で、ともかくもここまでこぎつけることができた、亡き父や母もたぶん満足して下さるだろう、そして妹たちも、いつかは姉の苦労がどのようなものだったかということを知って、感謝して呉れるときがあるに違いない、そう信じてきたのであった。

妹たちは少しずつ性質が変っていった。環境が違ったのだからふしぎはないのだろうが、加内の家へ来るたびに、この家の貧しさを厭うようすが強くなり、ときにはこのような貧しい実家を持つことを恥じるような口ぶりさえみせるようになった。