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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,649 字 · 27 頁
五
「べつにからだが悪いわけではございませんけれど、なんですか気分が重うございまして……」
「わけもなしに気分の重いということもなかろう、いちど医者にみて貰ったらどうだ」
「はい」
弥生はふと顔をあげた、いっそ良人にすべてをはなしてみようか、良人には良人の意見があるだろうし、それを聞けば或いはこの悩みも解けるかもしれない、はなすならこの機会だ、そう思って口まで出かかったが、やっぱり言葉にはだせなかった、良人は男である、こういう女の苦しみは、話してもわかって呉れないであろう、かなしくそう諦めてさりげなく、その場をとりつくろって済ませてしまった。
五
霜月にはいると北ぐにの野山はもう雪に蔽われる、昼のうち日が照って、昨日の雪が消えたと思うと、明くる朝はまたちらちらと粉雪になり、昏れがたには五寸も積もる、そういうことを繰返すうちに、やがて三四日も降り続いて寝雪となる日が来るのだ。……その年は珍らしく寝雪が遅く、月のなかばを過ぎてもまだ土の見えるところが多かった。まるで季節が返りでもしたような、或る晴れた暖かい日の午後、小松が下婢に包物を持たせて久方ぶりに訪ねて来た。