輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,672 字 · 20 頁

青空文庫

二

そう云いかけて、言葉が切れたと思うと、仙千代の眼はそのまま閉じ、すぐにやすらかな寝息をたてはじめた。松子はどういうわけかぞっと背すじが寒くなった、今しがた自分が紙にくるんで捨てた蛾のことを思いだしたのである、けれどそれはほんの一瞬のことで、すぐにかの女はきつく頭を振った。――

――仙千代はねぼけたのだ。

そしてしずかにそこをたち去った。

二

居間へもどった松子は、次ぎの間にひかえている侍女たちにもう寝るようにと云い、ふたたび机に向って文を書きつづけた。それは良人へおくる詫びの手紙だった。出陣の前夜だったが、かの女は良人にむかってこういう意味のことを云った。「おんなの身でかようなことを申上げるのは僭上ではございますけれど、お父うえ安房守さまの御心底はいかがでありましょうか、世のありさまを思いあわせますと、親子兄弟の仲とてなかなか心ゆるせぬように存ぜられますが」と。けれど信之はなにも云わなかった、不快そうな顔もしなかったし、もっともだという表情もみえなかった、まるでなにも聞かなかった人のように、黙って燭台のあたりを見まもっていた。

こんどの出陣には信濃のくに上田城から真田昌幸とその子幸村が加わることになっていた。