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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,672 字 · 20 頁

青空文庫

三

松子はそう思い、すぐに屋形へもどった。水をつかい髪を櫛けずり、着替えをしているところへ、老職の斎藤刑部の伺候をしらせて来た、出て会うとはたして二騎の使者のことだったが、しかし良人からではなかった。

「安房守さまおたち寄りとの前触れにござります」

「安房さまが……」

松子は聞きちがいではないかと思った。

三

「たしかに相違ございません、左衛門佐(幸村)さま御同伴にて昨夜は渋川にお泊りなされ、今朝こちらへ御発向との口上にございました」

「使者の者はいかがしました」

「口上を申しのべますとすぐ引返して去りましたが……」

刑部をさがらせ、屋形へもどった松子の胸は疑惑のためにふさがれていた。安房守昌幸は良人と箕輪で会い、ともに江戸へはせ参じた筈である。それがいまごろ沼田へ来るというのはどうしたわけか、なにがあったのか、良人もごいっしょなのか。使者の口上だけではなにもわからない、一夜ねむらずに明かしたあとだったが、もう寝所へはいる気持もおこらず、松子はつぎの知らせを待ちかねていた。

二番めの使者が来たのは二時すぎだった、これは一行の先駆で、海野十郎兵衛という真田家では名のあるさむらいだった、松子は城の大玄関まで出てかれに会った。