輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 15,091 字 · 30 頁
「ああ墨丸か」
脇からそう云う者があり、みんなあの頃のことを思いだしてなごやかに笑った。
平之丞がお石を見なおすようになったのはそれからのことだ。見る眼をちがえると、それまで知らずに見すごしてきた事の端はしに、お石の心ざまの顕われをみつけてはおどろく例が少なくなかった。人の気づかないところ、眼につかぬところで、すべて表面よりは蔭に隠れたところで、緻密な丹念な心がよく生かされていた。下女に代って風呂場の掃除をしたり、釜戸の火を焚いたり、下男といっしょに薪を作ったりすることは、母でさえながいこと知らずにいた。料理には特に巧みで、粗末な材料からどんな高価なものかと思わせるような物をよく拵えた、或るとき茶菓子に団子を作った、さっくりと歯あたりの軽い、鄙びた珍らしい味で、平之丞なども皿を代えて喰べた。あとで聞くと稗団子だという、然もその稗は田のほうへいったとき百姓が抜き捨てたものを拾い集めて来て、自分で干し自分で搗き、粉に碾いて作ったということだった。
「あの子のすることには時どきびっくりさせられますよ」
そういう母の言葉には、いつも感嘆の調子が温かくこもっていた。