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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁
という以上に現わされていない。「夢にでも見たい!」という哀求と、「夢を頼みにしている」という叙述とでは、力がまるで違う。
かくて『古今』の恋の歌は、恋の感情を鋭く捕えて歌うよりも、恋の周囲のさまざまの情調を重んずることになる。たとえば、
秋の夜も名のみなりけり逢ふといへば事ぞともなく明けぬるものを (恋三、小町)
ねぬる夜の夢をはかなみまどろめばいやはかなにもなり増るかな (同、業平)
秋の夜は長いと言われるが、恋人と逢う夜は何をしたという気もしないうちに明けてしまう、長いというのはうそだ。後朝に昨夜の共寝の「夢のごとき」味わい足りなさをはかなみつつまどろむと、ますますはかなさがつのってくる。――これらは明らかに恋愛に付随した情調ではあるが、恋愛の感情そのものではない。恋しさ、嬉しさはただ背景として、恋の心に起こる一つのこまかい情調の影を浮き出させるために役立っているに過ぎぬ。もとよりこの歌人たちは右のごとき詠嘆によってその恋愛の感情を伝えようとしたには相違ない。しかしそこに伝えられる感情はかえって漠然と「恋しい」「嬉しかった」というような粗大な表出をしか得ていない。