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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(二)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,865 字 · 432 頁

青空文庫

なんにしても自由自在に槍を使う以上、それが町人や百姓とも思われないので、武家や浪人どもが注意の眼を逃がれることは出来なかった。七兵衛もやはりそう見ている一人であった。

十月六日の朝は陰っていた。もう女房のない七兵衛は雇い婆のお兼に云った。

「老婢、どうだい、天気がおかしくなったな」

「なんだか時雨れそうでございます」と、お兼は縁側をふきながら薄暗い初冬の空をみあげた。「今晩からお十夜でございますね」

「そうだ、お十夜だ。十手とお縄をあずかっている商売でも、年をとると後生気が出る。お宗旨じゃあねえが、今夜は浅草へでも御参詣に行こうかな」

「それが宜しゅうございます。御法要や御説法があるそうでございますから」

「老婢と話が合うようになっちゃあ、おれももうお仕舞いだな。はははははは」

元気よく笑っているところへ、子分のひとりが七兵衛の居間へ顔を出した。

「親分、禿岩がまいりました。すぐに通してやりますか」

「むむ。なにか用があるのかしら。まあ、通せ」

小鬢に禿のある岩蔵という手先が鼻の先を赤くしてはいって来た。

「お早うございます。なんだか急に冬らしくなりましたね」

「もうお十夜だ。