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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

それでも因幡守とお早と女中二人、あわせて四人の死骸を探り当てましたが、娘のお春と女中のお信、この二人のゆくえは知れませんでした。

浅井の屋敷ではもちろん相当の金を使ったのでしょう。関係者一同に固く口止めをして、その船に乗っていたのは妾と娘と女中ばかりで、主人の因幡守は駕籠で帰った為に無事であったと云い触らしました。それから四、五日後に因幡守は急病頓死の届けを出して、当年十七歳の嫡子小太郎がとどこおりなく家督を相続しました。こういうことは、屋敷の方で何かのぼろを出さない限り、上では知らぬ振りをしているのが其の当時の習いでしたから、すべてが無事に済みました。しかし済まないのは、その船の詮議です。たとい主人の因幡守が乗っていないとしても、三千石の旗本の娘と妾と三人の女中を沈めた一件ですから、災難だとばかりは云っていられません。どうして船底から水が漏ったのか、一応の詮議をしなければならないのですが、船頭の千太は後難を恐れたとみえて、船宿の三河屋へ一旦帰りながら、その晩のうちに何処へか姿を隠してしまいました。

こういう場合に逃げ隠れをすると、かえって本人の不為になるばかりか、主人の三河屋にも迷惑をかける事になる。