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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

「どうしてこんな所に来ている」

「もう自分の家へも帰れませんから、ゆうべから方々をうろ付いていました」

「お前はゆうべ、わたしを姉さんのところへ連れて行ってやると云ったが、本当か」

お冬はだまった。

「嘘か」と、長三郎は詰るように云った。

「連れて行くと云ったのは嘘ですけれど……。お姉さんの居る所は知っています」

「知っているなら教えてくれ」

お冬は男の顔を見つめながら黙っていた。

「おまえは当ても無しにここらへ来たのか」と、長三郎は訊いた。

「もし自分のからだが危くなったら向島へ行けと、お父さんに云い聞かされているので……」

「向島の……なんという所へ行くのだ」

「五兵衛という植木屋の家です」

「そこに姉さんも幸之助もいるのか」

お冬は答えなかった。

「そうして、その五兵衛の家は知れたのか」

「ここらへは滅多に来たことが無いので、路に迷って四つ木の方へ行ってしまって、お午頃にここまで引っ返して来ましたが、くたびれたのと眠いのとで、さっきから此の小屋へはいって寝ていました」

「では、その家は見付からないのか」と、長三郎は失望したように云った。

「これからあなたと一緒に探しましょう」