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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
もう三、四間というところまで追い着くと、女もさすがに気がついて振り返った。
覚られたと知って、元八はすぐに声をかけた。
「姐さん、姐さん。神明さまへ行く途中には、暗い森があって物騒だ。おれがそこまで一緒に行ってやろう」
なんと返事をしたらいいかと、女は少し躊躇している間に、元八は駈け足で近寄った。彼は若い女にこすり付いて云った。
「さあ、おれが送ってやろう。ここらには悪い奴もいる、悪い狐もいる。土地の者が付いていねえとどんな間違いが起るかも知れねえ」
まずこう嚇して置いて、彼は無理に送り狼になろうとすると、女は別に拒みもしないで、黙って彼に送られて行った。その途中、元八が何か馴れ馴れしく話しかけても、殆んど唖のように黙りつづけているのを見ると、彼女がこの不安な親切者を悦んでいないのは明白であった。それでも元八は執拗く絡み付いて行くうちに、やがて田圃路を通りぬけて、二人はやや広い往来へ出た。それを右へ切れて更に半町ほども行くと、元八の云った通り、路端に小さい雑木の森が見いだされた。
「姐さん。この森を抜けた方が近道だ」
彼は女の手をつかんで、薄暗い木立の奥へ引き摺り込もうとすると、女は無言で振り払った。