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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

お鎌という女も唯は置かれねえ奴らしいな」

「そうでしょうね」と、半七は煙草を吸いながら考えていた。

秋の日もやがて暮れかかって、再び酒と肴が持ち出されたが、半七は酒を辞退して夕飯を食った。その箸をおいて茶を飲んでいる処へ、松吉が詰まらなそうな顔をして帰って来て、お鎌はいまだに姿をみせないと云った。恐らく再び帰らないのであろうと、半七は想像した。

「おれもそうだろうと思った。おめえもここで夕飯の御馳走になれ。仕事はこれからだ」

裏の田圃に秋の蛙が啼き出して、夜風が冷々と身にしみて来た頃に、半七と松吉は身支度をして緑屋を出た。

「松、しっかりしろよ。さっきも云う通り、今夜の怪物は化け猫に古狐だ。引っ掻かれねえように用心しろ」と、半七は笑いながら先に立った。

竜濤寺に行き着いて、二人は暗い本堂のまん中に坐り込んだ。あいにくに宵闇の頃であるのが、二人に取っても都合がいいようでもあり、悪いようでもあった。半刻ほども黙って坐っていると、藪蚊が四方から物凄いほどに唸って来た。

「ひどい蚊だね」と、松吉は左右の袖を払いながら云った。「これじゃあ遣り切れねえ」

「ひる間でさえもあの通りだ。