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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

その日のひる過ぎにかの木挽の銀蔵が来たので、喜平はもう一度かれを道連れにしようと誘いかけてみたが、銀蔵もなんだかあいまいな返事をしているばかりで、いつの間にかふいと立ち去ってしまった。

銀蔵といい、勝次郎といい、所詮自分の道連れにはなりそうもないので、喜平も一旦はあきらめたが、まだどうもほんとうに思い切れなかった。しかし自分ひとりで踏み込むのは何分にも不安であるのと、もう一つには、なにかの場合に自分ひとりの云うことでは他人が信用してくれない虞れがあるのとで、どうしても証人として誰かを連れてゆかねばならない。その味方を見つけ出すのに喜平は苦しんだ。

「誰かないかな」

かれは強情にかんがえた末に、同町内の和泉という建具屋の若い職人を誘い出すことにした。職人は茂八といって、ことしの夏は根津神社の境内まで素人相撲をとりに行った男である。かれは喜平の相談をうけて、一も二もなく承知した。

「そういうことなら早くおれに相談してくれればいいのに……。実はおれもやってみようかと思っていたところだ」

案外に話が早く纏まって、二人が柳原へ出かけたのは、最初の晩から四日目の暮れ六ツ過ぎであったが、このごろの日足はめっきり詰まったので、あたりはもう真っ暗な夜の景色になっていた。