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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

芯は金無垢の伸べ棒で、その上に蝋を薄く流しかけて、蝋燭のように見せかけてある。これにはみんなも驚いて、早速に係りの役人衆に訴え出る。それからだんだんに調べてみると、どの蝋燭も芯は金無垢の拵え物……。どうです、まったくおかしいじゃありませんか」

「むむ、おかしいな。そこで、その死骸はどんな女だ」

「わっしは見ませんが、なんでも三十二三の小粋な女房で、その風呂敷包みのほかにはなんにも持っていなかったそうです。からだに疵は無し、水を嚥んでいる。たしかに身投げに相違ねえというのですが、さてその蝋燭がわからねえ。芯が金無垢でこしらえた蝋燭なんていう物が、この世の中にある筈がねえ。一体その女がどうしてそんな物を抱えていたのか、ひと詮議しなけりゃあなるめえと思うのですが、どうでしょう」

「おめえの云う通り、こりゃあ打っちゃって置かれねえな」と、半七は膝を立て直した。「おい、幸。しっかりしなけりゃあいけねえ。魚は案外に大きいかも知れねえぞ」

「どうも唯事じゃあ無さそうですね」

「なにしろ、いいことを嗅ぎ出して来てくれた。さあ、帯を絞め直して取りかかるかな」

金の蝋燭について、半七が俄かに緊張の色を見せたのは、それが彼の御金蔵破りに関係があるらしいと認めたからである。