輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

半七捕物帳

一

芝、田町の鋳掛屋庄五郎が川崎の厄除大師へ参詣すると云って家を出たのは、元治元年三月二十一日の暁方であった。もちろん日帰りの予定であったから、かれは七ツ(午前四時)頃から飛び起きて身支度をして、春の朝のまだ明け切らないうちに出て行ったのである。

庄五郎の家は女房のお国と小僧の次八との三人暮らしで、主人が川崎まいりに出た以上、きょうは商売も休み同様である。ことに七ツを少し過ぎたばかりであるから、表もまだ暗い。これからすぐに起きては早いと思ったのと、主人の留守に幾らか楽寝する積りであったのとで、庄五郎が草鞋をはいて出るのを見送って、女房は表の戸を閉めた。女房は茶の間の六畳に、小僧は台所のわきの三畳に寝ることになっているので、二人は再びめいめいの寝床にもぐり込んで、あたたかい春のあかつきの眠りをむさぼっていると、やがて表の戸を軽くたたく者があった。

「庄さん、庄さん」

これに夢を破られて、お国は寝床のなかから寝ぼけた声で答えた。

「内の人はもう出ましたよ」

外ではそれぎり何も云わなかった。かれを怪しむらしい町内の犬の声もだんだんに遠くなって、表はひっそりと鎮まった。