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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
「おかみさんはいるかえ」と、熊蔵は訊いた。
「奥にいますよ。呼んできましょうか」
「呼んでくれ」
手拭で着物の裾をはたきながら、二人が店さきに腰をおろすと、奥では針仕事でもしていたらしく、鈴の付いた鋏を置く音がして、むすび髪の若い女房がすこしく窶れた青白い顔を出した。
「この親分は御用で来なすったのだから、そのつもりで返事をしねえじゃあいけねえぜ」
お国は熊蔵を識らなかった。勿論、半七を識ろう筈はなかった。しかも御用という声をきいて、かれは神妙に店さきにうずくまった。いたずら小僧らしい次八もおとなしく小膝をついた。
「いや、別にむずかしい詮議をするんじゃあねえ」と、半七はしずかに云い出した。「早速だが、おかみさん、あの朝、一番さきに戸を叩いたのは確かに平七の声だったな」
「はい。庄さん、庄さんと呼んだだけでしたが、たしかに平さんの声でございました」と、お国は淀みなく答えた。
「二度目の声はお前は聞かなかったんだね」
「つい眠ってしまいまして……」と、お国はすこし極まり悪そうに答えた。「この次八が返事をいたしたのでございます」
「たしかに親方の声だったか」と、半七は小僧を見かえって訊いた。