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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

それだから正月の初大師などと来たら、寒いこと、寒いこと……。それもまあ、信心の力で我慢したんですが、大勢のなかには横着な奴があって、草鞋をはいて江戸を出ながら、品川で昼遊びをしている。昔はそういう連中のために、大師河原のお札が品川にあったり、堀ノ内のお洗米が新宿に取り寄せてあったりして、それをいただいて済ました顔で帰る……。はははは、いや、わたくしなぞはそんな悪いことをしないから、大師さまの罰もあたらないで、まあこうして無事に生きているんですよ。その大師詣りに就いてこんな話があります。又いつもの手柄話をするようですが、まあ、お聴き下さい」

嘉永四年は春寒く、正月十四日から十七日まで四日つづきの大雪が降ったので、江戸じゅうは雪どけの泥濘になってしまった。こんにちと違って、これほどの雪が降れば、その後の半月ぐらいは往来に悩むものと覚悟しなければならない。半七は足ごしらえをして、子分の庄太と一緒に、二十一日の初大師に参詣した。

明け六ツ頃に神田の家を出て、品川から先は殊にひどい雪どけ道をたどって行って、大師堂の参拝を型のごとくに済ませたのは、その日も午を過ぎた頃であった。