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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
「以前は浅草の吾妻橋ぎわにあったのですが、亭主が死んだので店を仕舞って、おかみさんは品川の方へ引っ込んで、もう小一年も逢わなかったのですが、きのう思いがけなく川崎で逢いました」
「おかみさんはお六というのだね。亭主は……」
「安蔵といいました。御承知の通り、わたくしは釣り道楽で、鳥亀の亭主とはおなじ釣り師仲間で、ふだんから懇意にしていたのですが、どうも可哀そうな事をしまして……」
善吉の話によると、安蔵は去年の春の彼岸ちゅうに鮒釣りに出た。近所の釣り場所は大抵あさり尽くしているので、柴又の帝釈堂から二町ほど離れた下矢切の渡し場の近所まで出かけたのである。ここらは利根川べりで風景もよい。安蔵は夜の明け切らないうちに浅草の家を出て、吾妻橋を渡って行った。それまでは家内の者も知っているが、その後の消息は判らない。それから二日ほど過ぎて、安蔵の死体は川しもで発見された。かれが片手に釣り竿を持っていたのを見ると、なにかの過失で足を踏みすべらせて、草堤から転げ落ちたのであろう。釣り好きではあるが、彼は泳ぎを知らなかった。
鳥亀の女房お六は上野辺で茶屋奉公をしていた女で、夫婦のあいだに子はなかった。