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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

それにしても、かの鶏がなぜ旧主人のお六に襲いかかったのか。そのむかし彼女に虐待されたのを恨んだのか、雌鶏が殺されたのを恨んだのか。鶏はどれほど記憶がよいか知らないが、小一年の後までも其の人の顔や姿を見忘れないものであろうかと、半七は又かんがえた。しかもここに一つの疑いは、お六の亭主の変死一件である。その一件と鶏とを結び付けて考えれば、なにかの謎が解けないでもなかった。

「いや、朝っぱらからお邪魔をしました」

半七は下駄屋の店を出た。

三

その次の日の午頃に庄太が顔を見せると、彼はすぐに半七にひやかされた。

「おい、庄太。おれもぼんやりだが、おめえもよっぽどうっかり者だぜ。例の一件の中年増はおめえの縄張り内の浅草で、しかも眼のさきの吾妻橋に住んでいたのじゃあねえか」

「いや、閉口。すっかり度忘れをしてしまって……」と、庄太はあたまを掻いた。「家へ帰ってから思い出しましたよ。鳥亀、鳥亀……。いつか一度、親分を案内して行ったことがありましたよ」

「むむ。雪駄の皮のような軍鶏を食わせた家だ。そこで、きのうはどうした。大森へ出かけたか」

「行きましたよ。相変らず道が悪くって……。