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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁
今も昔も同じことで、探索の役目の者も一つの仕事にばかり取り付いているわけには行かない。新らしい事件があとから出て来れば、又その探索に取りかからなければならない。現に半七はその年の十二月に、小柳という女軽業師の犯罪を探索して、初陣の功名をあらわしている。小柳という女の手口が鍋久の人殺しにやや類似の点があるので、半七はそれに比較して、鍋久の人殺しもお節の替玉であることをいよいよ確信するようになったが、ほかの仕事の忙がしいのに追われて、心ならずも投げやりにしていた。
水野閣老の天保度改革は今ここに説くまでもない。その倹約の趣意がますます徹底的になって、贅沢物の禁止、色茶屋の取り払い、劇場の移転など、それからそれへと励行されたが、その一つとして江戸の娘義太夫三十六人は風俗を紊すものと認められ、十一月二十七日の夜に自宅または寄席の楽屋から召し捕られて、いずれも伝馬町の牢屋へ送られた。
「可哀そうだが、お上の指図だ」と、吉五郎は云った。半七もその召し捕りにむかった一人であった。
娘義太夫はその名のごとくに若い女が多かったが、大抵は十五六歳から二十二三歳に至る色盛りで、風俗をみだすと認められたのも、それが為であった。