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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(四)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(四)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 217,272 字 · 434 頁

青空文庫

与兵衛は急いで大木戸の店へ帰って、まず女房のお才にその一条を訴えると、お才も死人のような顔になった。すぐに主人の多左衛門を奥へ呼んで、女房と番頭が右ひだりから詰問すると、多左衛門もいっさいを正直に白状した。自分の道楽からみんなに心配をかけて申し訳がない。諸事は万次郎の云う通りであるから、何分よろしく取り計らってくれと、彼は面目なげに云った。万次郎に二百両を渡しただけで、なぜあと金を出し渋っていたかという問いに対しては、余りに大金であるからだと答えた。

それはおとといの夜のことで、この上は何をおいても金の工面を急がなければならないと、女房は再び番頭と打ち合わせの上で、お才は明くる日の早朝から下町の親類へ相談に行った。与兵衛は淀橋辺にある丸多の地所と家作を抵当にして金を借り出す掛け合いに出かけた。親類の方は相談が纏まらないで午過ぎにお才は悄々と帰って来ると、店にも奥にも多左衛門の姿は見えなかった。裏口からこっそりと出て行ったらしく、店の者も今まで気が付かなかったというのである。時が時だけに、お才は一種の不安を感じて、居間のそこらを取り調べると、果たして一通の書置が発見された。