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みらいのちかせんしゃちょう

未来の地下戦車長

海野 十三

線上閱讀海野 十三《未来の地下戦車長(みらいのちかせんしゃちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 41,930 字 · 85 頁

青空文庫

しかし、こんなことで、へたばっては、未来の地下戦車長もなにも、あったものではない。そう思った一郎は、再びシャベルを握ると、さらに大きな懸け声を出して、えっさえっさと、穴を掘っていった。

ばたばたと、縁側に、足音がした。

「まあ、一郎!」母親の、呆れたらしい声だった。

「ほらね、お母ちゃん。兄ちゃんの顔、あんなに、泥んこだよ」

「一郎、朝っぱらから、なにをしているのです」

「僕は今、……」いおうと思ったが、一郎は、そこで、あやうくことばを呑んだ。

(ああ、もうすこしで喋るところだった。語るな、軍機だ! たとえ、母親にだって)

「ちょっと、いえないの。国防上、秘密のことをやってやるんですからねえ」

「え、国防上秘密のこと?」

母親は、聞きかえしていたが、やがて二郎の頭をなでて、

「二郎や。兄ちゃんは、防空壕を掘っているのだよ。出来たら、お前も入れてお貰い」

そういって、母親は安心して、奥に引込んでしまった。

(防空壕? ははあ、これが防空壕に見えるかなあ)

防空壕をつくるにしても、一人では、たいへんである。シャベルをもつ一郎の両腕は、今にも抜けそうになってきた。しかし彼は頑張って、土と闘った。