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ほんちょうへんたいそうれいし
本朝変態葬礼史
中山 太郎
線上閱讀中山 太郎《本朝変態葬礼史(ほんちょうへんたいそうれいし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,960 字 · 24 頁
しかるに平安朝の中頃から鎌倉期の初葉にかけ、補陀洛山に居る生身の観音菩薩を拝すると称して、志願ある者は小舟に打乗り海に出で、浪のままに流れ漂うて往生する事がさかんに行なわれた。発心集に一条院の御時の事とて、賀東聖と云う者が『補陀洛のせんこそ此の世の中のうちにて、此の身ながら詣でぬべき所なれ』とて、土佐国から解纜したことが載せてある。藤原頼長の日記である台記の康治元年八月十八日の条に、権僧正覚宗の談として、同人が少年のとき紀州那智に籠って修行していたが、その頃一人の僧があって現身に補陀洛山に祈参するとて、小さい船の上に千手観音の像を造り立て手にを持たせ、祈請三年に及び北風を得て出発したとある。
由来、紀州の熊野は死に関係の深い所で、地名の起りも隠り野――即ち墓所の転訛であろうとまで云われている。殊に我国の冥府の神である伊弉冊尊がこの地に祀られてから、一段とその関係が深くなった。屋島の戦場から脱れた平維盛が、二十七歳の壮齢を以て熊野から入水したのも、また補陀洛渡海の信仰が含まれていたのである。源平盛衰記に『三位入道船に移り乗り、遥かの沖に漕ぎ出で給ひぬ。