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えどかとうきょうか
梵雲庵雑話
淡島 寒月
線上閱讀淡島 寒月《梵雲庵雑話(えどかとうきょうか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,841 字 · 73 頁
明治十年前後
明治十年前後の小説界について、思い出すままをお話してみるが、震災のため蔵書も何も焼き払ってしまったので、詳しいことや特に年代の如きは、あまり自信をもって言うことが出来ない。このことは特にお断りして置きたい。
一体に小説という言葉は、すでに新しい言葉なので、はじめは読本とか草双紙とか呼ばれていたものである。が、それが改ったのは戊辰の革命以後のことである。
その頃はすべてが改った。言い換えれば、悉く旧物を捨てて新らしきを求め出した時代である。『膝栗毛』や『金の草鞋』よりも、仮名垣魯文の『西洋道中膝栗毛』や『安愚楽鍋』などが持て囃されたのである。草双紙の挿絵を例にとって言えば、『金花七変化』の鍋島猫騒動の小森半之丞に、トンビ合羽を着せたり、靴をはかせたりしている。そういうふうにしなければ、読者に投ずることが出来なかったのである。そうしてさまざまに新しさを追ったものの、時流には抗し難く、『釈迦八相記』(倭文庫)『室町源氏』なども、ついにはかえり見られなくなってしまった。
戯作者の殿りとしては、仮名垣魯文と、後に新聞記者になった山々亭有人(条野採菊)に指を屈しなければならない。