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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇(ウニデスちょうりゅうのかなた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,361 字 · 483 頁

青空文庫

「誰でもいい! 外国語のわかるものはみんな出て来い! 片語でもかまわぬし、また土語でもかまわんぞ! 申し出てくれ!」としまいには大尉は大声で呶鳴った。それに応じて、こんなにもいたのかと思うくらい何か違う言葉を知っているというものが、兵員の中から続々と現れてきた。

「隊長! 入隊前スマトラにおりまして、インドネシア語が少しわかるのですが」

「おお! やってみてくれ、やってみてくれ」

「隊長、私は馬来語が少し……」

「おお頼む」

「隊長、自分はオマーンにおりまして、亜剌比亜語を」

「オマーンというのはどこだ!」

「亜剌比亜の東端で波斯湾岸であります」

「妙な所にいたな! かまわぬ、やってみてくれ」

「私は支那語を四つばかり……」

「四つとは心細いな。しかし、物はためしだ!」

が、そのいずれも二人にとっては、ちんぷんかんぷんであった。

最後には紙と鉛筆を出して字を書いて見せたが、無学とみえて、二人ともただ珍しそうに眼をキョロ付かせているばかり。ともかく国籍なり、どこの領地かがわかりさえすれば、そこから推して、また似た言葉を出してみる手もあるというわけで、しまいにはポケット用の地図まで出して見せたが、地図なぞは初めて見たとみえて、逆さまに眺めている始末で、結局いかんとも我々の手には負えぬことがわかったのであった。