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ウニデスちょうりゅうのかなた

橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇

橘 外男

線上閱讀橘 外男《橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇(ウニデスちょうりゅうのかなた)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 247,361 字 · 483 頁

青空文庫

伯爵夫人と外務次官令嬢

来月早々亜爾然丁へ行くもクソも、あるものか! まだ市内にマゴマゴしてるのであった。おまけに邸の中へ入ったきり、どこへも出て行った様子は、絶対にないという。この老人こそフィリップ殿下と伯爵の間に立っている連絡者だと、嬢は睨んだ。かくて嬢の直観は信念となり、信念はいよいよ胸の内に燃えて、今や沸騰点に達してきた。

今度の決め手が違ったら、もうこれで探偵の看板は下してしまおう! と、覚悟の臍を固めた。が、いよいよ手を入れるとなると、ここに問題が一つ起ってくる。上院議員も会社重役も大したことはないが、ただ厄介なのは高貴な血を引く相手だけに、民間探偵としてはその筋の諒解なしには、濫りに手をつけられぬことであった。いわんや背後には、フィリップ殿下が控えている。

ついに決心して嬢は、国家警察局の諒解を求めるべく、ある日長官を訪ねて行ったのであった。初めてあの傅育官の老人に逢って、伯爵邸と殿下の御動静に見張りをつけてから約二カ月半ばかりの後、北の国の夏は束の間に過ぎて、蕭条たる秋がもうその辺までやってきている頃であった。

伯爵夫人と外務次官令嬢

長官は万一の見込み違いを慮って、国家警察局から応援を出すことは憚るが、都市警察庁の私服七、八人くらいは繰り出してもいいと言ってくれた。